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レシート保存要件とは?

電子帳簿保存法の
レシート保存要件とは?

2024年の電子帳簿保存法改正により、レシートの保存ルールはより厳格かつ複雑になりました。「紙のレシートは捨てていいのか」「アプリで受け取った電子レシートはどう保存すべきか」と迷う担当者も少なくありません。

本記事では、紙・電子・POSデータの受取パターン別に、法対応するための正しい保存要件と、実務ですぐに使える運用チェックリストをわかりやすく解説します。(173文字)

【基本】電子帳簿保存法におけるレシート保存の3つの区分

電子帳簿保存法において、レシートや領収書の保存方法は「どのように受け取ったか」によって適用されるルールが異なります。2024年1月からの改正により、特に電子データで受け取った場合の取り扱いが厳格化されました。適切な保存を行うためには、まず自社の取引がどの区分に該当するかを正しく理解することがスタートラインです。ここでは、実務で頻出する3つのパターンについて解説します。

1紙で受け取ったレシート(紙保存・スキャナ保存)

店舗や取引先から「紙」で受け取ったレシートや領収書は、原則としてそのまま紙の状態でファイリングして保存することが認められています。この場合、従来通りの日付別・取引先別の整理方法で問題ありません。

一方で、業務効率化や保管スペース削減のために、紙のレシートをスマートフォンやスキャナで読み取り、電子データとして保存することも可能です。これを「スキャナ保存」と呼びます。スキャナ保存はあくまで「任意」の制度ですが、適用することで原本の廃棄が可能になるなど多くのメリットがあります。ただし、解像度やタイムスタンプの付与といった一定の要件を満たす必要があるため、事前の準備が不可欠です。

電子データで受け取ったレシート(電子取引)

メール添付のPDF請求書、Webサイトからダウンロードした領収書、スマートフォンのアプリ上で発行されたレシートなどは、すべて「電子取引」に該当します。最も重要な点は、「電子データで受け取ったものは、データのまま保存しなければならない」という完全義務化のルールです。

以前のように「データを紙に印刷して保存し、元データは削除する」という運用は、原則として認められなくなりました。これらは「電子取引データ保存」の要件に従い、改ざん防止措置を講じた上で、日付や金額で検索できる状態で保存する必要があります。これに違反すると、青色申告の承認取り消しなどのリスクがあるため注意が必要です。

POSシステム・ECサイト等の取引データ

近年普及しているPOSレジシステムやECサイト(Amazonや楽天など)での購買履歴も、保存の実務においては重要な位置を占めます。POSシステムを通じて発行される「電子レシート(スマートレシート)」を受け取った場合、それは「電子取引」として扱われます。

また、ECサイト上の購入履歴や、クレジットカードの利用明細データそのものは、厳密には領収書の代わりにはなりませんが、電子取引データの補完資料として重要な意味を持ちます。POSやECサイトの連携機能を持つ会計ソフトを利用していれば、取引データが自動で取り込まれ、そのまま電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存できるケースも増えています。システムを活用することで、手動保存の手間を大幅に削減できる領域です。

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紙レシートを「スキャナ保存」するための要件と手順

紙で受け取ったレシートを電子データ化して保存する「スキャナ保存」は、ペーパーレス化の要です。しかし、単に写真を撮れば良いわけではなく、国税庁が定める「真実性の確保」と「可視性の確保」を満たす必要があります。ここでは、レシート(資金や物の流れに直結する重要書類)をスキャナ保存する際の具体的な要件と手順を解説します。

スキャナ保存の必須要件(解像度・タイムスタンプ等)

レシートをスキャンまたはスマートフォンで撮影する際は、画質に関する基準をクリアしなければなりません。具体的には、「解像度200dpi相当以上」かつ「赤・緑・青それぞれ256階調(24ビットカラー)以上」での読み取りが必要です。文字が潰れていたり、白黒で保存してしまったりすると要件を満たさないため注意しましょう。

また、データの改ざんを防ぐために「タイムスタンプ」の付与も必須です。レシートを受領してから「概ね7営業日以内」、または社内の事務処理規程で定めた業務サイクル(最長2ヶ月)経過後から「概ね7営業日以内」に入力する必要があります。ただし、訂正・削除の履歴が残るクラウド会計ソフトや経費精算システムを利用する場合は、タイムスタンプの付与義務が免除されるケースも一般的です。

2024年改正対応!要件緩和のポイントと注意点

2024年1月1日以降、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件がさらに緩和され、導入のハードルが下がりました。大きな変更点は、スキャンした際の「解像度・階調・大きさに関する情報の保存」が不要になったことと、「入力者等情報の確認」が不要になったことです。これにより、システム側の負担や入力時の手間が軽減されています。

しかし、要件が緩和されたからといって、画質の悪いデータが許容されるわけではありません。あくまで「ディスプレイ等で明瞭に確認できる状態」であることは引き続き求められます。また、レシートのような重要書類については、これまで通り「帳簿との相互関連性の確保」(どの仕訳のレシートか紐付けられる状態)が必要です。緩和された部分と維持された部分を正しく把握し、運用ルールを設計しましょう。

原本は即破棄できる?保存期間と廃棄のタイミング

スキャナ保存導入の最大のメリットは、紙の原本を廃棄できる点です。法改正により、現在はスキャンを行い、画像データが正しく保存されていることを確認した後であれば、「直ちに原本を廃棄」することが可能です。以前求められていた「定期検査」や「原本の一定期間保存」は不要となりました。

ただし、一度廃棄した原本は二度と元に戻せません。もしスキャン画像が不鮮明だったり、指が写り込んで金額が隠れていたりした場合、税務調査で経費として認められないリスクがあります。そのため、実務上は「入力して承認が完了するまでは保管する」「念のため1ヶ月分まとめて廃棄する」といった社内ルールを設け、二重チェックの体制を整えておくことを強くおすすめします。

「電子取引」データの保存要件とPOSレジの対応

アプリで受け取る電子レシートや、ECサイトでの決済データは「電子取引」に該当するため、紙での保存が認められず、データそのものの保存が義務付けられています。ここでは、スマートフォンやPOSシステムを経由して発生するデータの具体的な保存ルールと、実務上の注意点を解説します。

電子レシート(スマートレシート)やアプリ決済の保存ルール

店舗のPOSレジと連携したスマートフォンアプリで受け取る「電子レシート(スマートレシート)」は、典型的な電子取引データです。これらは「電子データのまま保存すること」が必須であり、画面を紙に印刷して保存する方法は、原則として認められていません。

保存方法としては、アプリの機能を使ってPDFや画像データとして出力し、サーバーやクラウドストレージに格納するのが一般的です。アプリによってはデータの閲覧期間が制限されている場合があるため、取引が発生したら速やかにダウンロードする習慣をつけましょう。なお、正規のデータ出力機能がない場合、取引内容が明瞭に確認できる状態であれば、画面のスクリーンショットを保存する方法でも認められるケースがあります。

真実性と可視性を確保する「改ざん防止措置」と「検索機能」

電子取引データを保存する際は、データの信頼性を担保するために「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。「真実性の確保」とは、タイムスタンプを付与するか、または「改ざん防止のための事務処理規程」を定めて運用することです。専用システムを導入しない中小企業では、規程の策定が現実的な対応策となります。

「可視性の確保」で特に重要なのが検索機能です。保存したデータは、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できるようにしておく必要があります。専用ソフトを使わない場合は、ファイル名を「20241031_株式会社〇〇_10000円.pdf」のように規則的に変更し、特定のフォルダに集約することで要件を満たすことができます。

POSシステムの「電子ジャーナル」はレシート保存の代用になるか?

経理実務においてよくある疑問が、「レシートを紛失した場合、クレジットカードの利用明細やアプリの購入履歴(ジャーナルデータ)で代用できるか」という点です。原則として、クレジット明細書だけでは取引内容(具体的な品名など)が不明確なため、正規の領収書等の代わりにはなりません。

しかし、POSシステムと連携したアプリ等の購入履歴で、日付・取引先・金額・購入内容・作成者が網羅されていれば、それを証憑として利用できる場合があります。さらに、クラウド会計ソフトと連携可能なPOSシステムやカードを利用していれば、利用明細が自動的に「電子取引データ」として取り込まれ、帳簿保存の要件を自動的に満たしてくれるサービスも増えています。これらを活用することが、ペーパーレス化と法対応を両立する近道です。

今日から始める運用のポイントとチェックリスト

電子帳簿保存法への対応は、高価なシステムを導入しなければ不可能なわけではありません。運用ルールを明確にし、必要な規程を整備すれば、中小規模の事業者でも十分に法令順守が可能です。ここでは、直ちに取り組むべき運用のポイントと、自社の状況を振り返るためのチェックリストをご紹介します。

事務処理規程の整備と社内ルールの策定

専用システムを導入せず、Googleドライブや社内サーバーなどで電子データを保存する場合、必ず用意しなければならないのが「事務処理規程」です。これは「正当な理由がない訂正や削除を行わない」という社内ルールを明文化したもので、これを備え付けることで、タイムスタンプの代わりとして「真実性の確保」要件を満たすことができます。

国税庁の公式サイトでは、法人用・個人事業主用の規程サンプルが無料で公開されています。まずはこのひな形をダウンロードし、自社の実情に合わせて微調整して策定することから始めましょう。規程を作らずにただデータを保存しているだけでは、法令違反となる恐れがあるため注意が必要です。

インボイス制度と電子帳簿保存法の併用ルール

レシート保存の実務では、「電子帳簿保存法(保存方法のルール)」と「インボイス制度(保存内容のルール)」の両方を満たす必要があります。インボイス制度においては、仕入税額控除を受けるために、登録番号や適用税率が記載された「適格請求書(レシート)」を7年間保存しなければなりません。

重要なのは、インボイス制度の要件を満たしたレシートであっても、保存方法自体は電子帳簿保存法に従うという点です。つまり、インボイス対応の紙レシートは「紙のまま」か「スキャナ保存」、電子インボイスは「電子取引データ保存」となります。両制度はセットで運用されるため、保存するデータがインボイスの記載要件を満たしているかどうかも併せて確認するフローを組み込みましょう。

【チェックリスト】自社の保存方法は法対応できているか

最後に、現在の保存方法が法令に対応できているかを確認するための簡易チェックリストを掲載します。不安な点があれば、前のセクションに戻って確認してください。

まとめ:レシート保存の電子化で経理業務を効率化しよう

電子帳簿保存法の改正により、レシート保存のルールは厳格化された側面もありますが、一方でスキャナ保存の要件緩和など、ペーパーレス化を後押しする変更も行われています。紙のレシートはスキャンして原本廃棄、電子レシートはそのままデータ保存というフローを確立できれば、経理業務の大幅な効率化とテレワーク対応が可能になります。

特にPOSレジデータやクレジットカード明細、クラウド会計ソフトを連携させることで、入力や保存の手間は劇的に削減できます。「法律だから仕方なく対応する」のではなく、「業務改善のチャンス」と捉え、自社に合った保存方法やツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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※(※2)2015年3月~2023年6月時点実績